弁護士に相談するにはいくら必要?著作権について弁護士に依頼するための費用とは

著作権に関する問題を弁護士に相談するには、どのような費用がどれくらいかかるのでしょうか。弁護士費用の種類も様々ですので、まずは弁護士費用の種類について説明した上で、著作権に関する弁護士費用を①法律相談、②契約書チェック・作成等、③訴訟・紛争対応に分けて解説します。

なお、弁護士報酬は2004年4月から自由化されていますので、報酬体系や額は法律事務所によって異なります。ここでは、一般的な内容を紹介しますが、実際に依頼する際には依頼先の弁護士に確認するようにしてください。

 

1 弁護士費用の種類

弁護士費用の報酬体系は様々ですが、おおむね、次のいずれかの種類の、又はこれらを組み合わせて定められることが多いようです。

①着手金・報酬金方式

案件の着手時に着手金を支払い、終了時に結果に応じて報酬金を支払う方法です。着手金・報酬金の算定方法は様々ですが、現在でも、弁護士報酬が自由化される前に弁護士会が定めていた報酬基準(「旧報酬基準」といいます。)が用いられることが多々あります。着手金・報酬金方式は紛争対応などでこの方式が採用されることが多いように思いますので、以下では紛争対応に関する旧報酬基準の内容を一部紹介します。

 

訴訟事件(手形・小切手訴訟事件を除く)・非訟事件・家事審判事件・行政事件・仲裁事件

報酬の種類 弁護士報酬の額
着手金 事件の経済的利益の額が300万円以下の場合 8%
300万円を超え3000万円以下の場合 5%+9万円
3000万円を超え3億円以下の場合 3%+69万円
3億円を超える場合 2%+369万円
※着手金の最低額は10万円
報酬金 事件の経済的利益の額が300万円以下の場合 16%
300万円を超え3000万円以下の場合 10%+18万円
3000万円を超え3億円以下の場合 6%+138万円
3億円を超える場合 4%+738万円

 

調停事件及び示談交渉事件

報酬の種類 弁護士報酬の額
着手金
報酬金
訴訟事件等に準ずる。
ただし、それぞれの額を3分の2に減額することができる。
※示談交渉から調停、示談交渉または調停から訴訟その他事件を受任するときの着手金は、訴訟事件等の2分の1
※着手金の最低額は10万円

 

このように、着手金・報酬金は事件等の対象の経済的利益の額を基準に定められます。訴訟・紛争案件における経済的利益の額は、金銭請求の場合は、請求する額又は請求された額になります。

例えば、自社が著作権侵害をしたとして第三者から300万円の支払いを求める内容証明が届き、その紛争対応を弁護士に委任した場合、着手金の額は、原則として300万円×8%で24万円となります。(ただし、案件の難易度等によって加減されることがあります。)

②タイムチャージ方式

各弁護士が時間あたりの単価を定め、この単価に依頼する法律事務処理にかかった時間をかけて報酬を算定する方式です。

弁護士の時間単価は各弁護士が自分の経験・経歴等を踏まえて設定していますので、タイムチャージ方式で依頼をする場合は事前に単価を確認するのがよいでしょう。単価は2、3万円から10万円以上まで様々ですが、単価の高い弁護士はその分野で専門性を有しているためにリサーチ等にかかる時間が短縮され、総額としてはかえって安くなることもあります。私もコンテンツ法務や個人情報保護法については一定の知識経験を有していますので、即答できたり、リサーチは確認程度のものしか必要がなかったりするご相談も少なくありません。

③顧問料方式

弁護士に対して月額の顧問料を支払っている場合には、一定の範囲の法律事務はその顧問料に含まれているのが一般的です。また、顧問料の範囲外の法律事務であっても、顧問料を締結していることにより割引を受けられることもあります。

顧問料の範囲にどのような法律事務が含まれるのかは弁護士や法律事務所、また顧問料の金額によっても異なりますが、企業向けの顧問契約であれば3万円程度から受け付けている法律事務所が多いように思われます。

 

2 著作権に関する弁護士費用の目安

以上のように、弁護士費用の算定方法や額は弁護士や法律事務所によって異なりますが、著作権に関する弁護士費用の額の目安を、相談のタイプ毎にご説明します。あくまでも目安なので、具体的に相談する際には事前にその弁護士に確認してください。

①法律相談

法律相談は、弁護士と顧問契約を締結している場合は顧問料の範囲内での対応となることも多いです。そうでない場合は、タイムチャージ方式によることが多いように思います。

法律相談の内容は、例えば著作権侵害にあたるかどうかの相談からビジネススキームの検討の依頼まで多岐にわたります。

単独の論点についての相談であれば1時間程度の相談で済むことも多いので、1〜5万円程度となることが多いでしょう。ただし、複雑な相談やビジネスモデルについての相談の場合は、弁護士のリサーチの時間を含めて数時間以上かかることもありますので、相談料は10〜20万円以上になることも珍しくありません。

②契約書チェック・作成等

法律相談は、弁護士と顧問契約を締結している場合は、難易度や分量にもよりますが、顧問料の範囲内での対応となることも多いです。そうでない場合は、タイムチャージ方式による場合や、案件毎にあらかじめ金額を合意して弁護士費用を定める場合などがあります。

依頼する契約書が定型的なものであるなどそれほど複雑でなく、分量も多くない場合には、契約書チェックなら3万円から10万円程度、契約書の作成なら5万円以上が相場です。

複雑な契約書の場合は、契約書チェックでも10万円程度以上、契約書作成の場合は数十万円になることがあります。

③訴訟・紛争対応

訴訟・紛争対応は、着手金・報酬金方式によることが多いでしょう。着手金・報酬金の算定方法は、旧報酬基準による場合は1①の表をご参照ください。

訴訟・紛争対応の費用は、顧問契約の範囲外となるのが通常です。ただし、顧問契約があることによって、その事務所の通常の料金から割引されることもあります。

 

3 まとめ

以上のように弁護士費用の相場をみてきました。ただ、弁護士費用が自由化されて以降、報酬体系は各法律事務所や弁護士が様々な定め方をしていますし、案件の性質によって加減されることもあります。そのため、依頼前に依頼先の弁護士に確認することをおすすめします。

Last Updated on 2024年1月28日 by rightplace-media

この記事の執筆者
大平 修司
ライトプレイス法律事務所

2010年12月弁護士登録。都内の事務所に勤務し、金融規制対応その他の企業法務や多くの訴訟・紛争対応に従事。
2016年4月に株式会社TBSテレビ入社。テレビ、インターネット配信、映画、スポーツ、eスポーツなど幅広いエンタテインメントについて、契約法務や訴訟・紛争対応や、インターネットビジネス、パーソナルデータの取扱いに関する業務等を担当。

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